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認定看護師制度は,高度化・専門分化が進む医療現場における看護ケアの広がりと看護の質の向上を目的として,日本看護協会が発足させた資格認定制度の一つです。
一般に,認定看護師の役割としては,「実践」「指導」「相談」の3つがあり,これを果たすことを期待されています。各役割の詳細は以下のとおりです。
認定看護師の役割
実践 : 熟練した看護技術を用いた水準の高い看護の実践
指導 : 看護実践を通した看護者に対する指導
相談 : 看護者に対するコンサルテーション
実践・指導・相談の3つの役割を担うことが期待されている認定看護師ですが,透析看護分野においては,以下のような知識・技術が求められるとされています。
求められる知識・技術 – 透析看護分野
- 透析患者に対して,総合的な臨床判断に基づく個別的なケアや,患者教育を計画,実践,評価できる。
- 透析療法に関する専門的知識と技術を用いて,継続して安全で安楽な治療環境を提供できる。
- 末期腎不全患者が治療の選択を自己決定できるよう,倫理的な判断の基に援助ができる。
- 患者様とご家族の長期療養生活にかかわる他職種の人と連携し効果的な支援となるよう調整できる。
- 透析看護の最新情報に関心を持ち,また実践的モデルを示すことによって看護職者に対して指導や相談に応じることができる。
- 看護職者の継続教育に主体的に関わり臨床看護の質向上に積極的に取り組むことができる。
これら役割を果たし,かつ知識・技術を有することを求められるのが透析看護認定看護師ですが,認定を取得するためには,以下のようなプロセスを経る必要があります。
透析看護認定の取得プロセス
| 実務経験5年以上(うち3年以上は透析看護分野での経験+5例以上の症例経験) |
↓ 願書提出
↓ 合格
↓ 6ヶ月~
↓ 合格
↓ 5年
上記のとおり,認定を取得するには,教育機関での教育が必須となりますが,この教育機関へ出願をするためには,最低でも実務経験を5年以上経験していなければなりません。しかも,単に5年の実務経験があればよいというわけではなく,透析分野での経験に加え,5例以上の症例経験がなくてはなりません。具体的には,以下の出願基準を満たしていることが必要です。
出願基準-透析看護分野
(1) 高等学校もしくはこれに準ずる学校を卒業した者,または文部科学大臣の定めるところによりこれに準ずる学力があると認められた者。
(2) 日本国の看護師免許を有する者。
(3) 看護師としての実務経験を5年以上(入学時点で可)有する者。
(4) 認定教育を受けることについて看護管理者の推薦を受けた者(現在勤務していない者は,前勤務施設の看護管理者の推薦を受けること)
(5) 透析看護分野での通算3年以上の実務経験(=透析室で維持透析の患者の看護に直接携わった経験(ICU・病棟での透析や,腹膜透析のみの実務経験は要件を満たさない))を有する者。
(6) 透析導入期・長期維持透析・CAPD・ハイリスク患者の看護の中から5例以上担当した経験を有することが望ましい。
(7) 現在,透析看護に携わっていることが望ましい。
上記出願基準をクリアしている場合には,教育機関に願書を提出することが可能となりますが,2011年現在,願書提出先となる透析看護分野における教育機関は「東京女子医科大学」のみです。東京女子医科大学で公表している募集期間・試験内容・教育目的・カリキュラム等は以下のとおりです。
教育機関と募集概要(透析看護分野)
教育機関 : 東京女子医科大学 看護学部 認定看護師教育センター (東京都新宿区)
募集概要 : 定員 : 20名
教育期間 : 10月~3月
出願期間 : 【2011年度】 2011年4月29日~5月13日
試験日 : 【2011年度】 2011年6月8日
合格発表 : 【2011年度】 2011年6月14日
学科試験 : 専門科目Ⅰ (客観式問題)
専門科目Ⅱ (状況設定問題)
選抜方法 : 学科試験,小論文,面接の結果及び志望理由書,推薦書から総合判定
教育目的(透析看護分野)
・透析療法を受ける人と家族に対して,熟練した看護技術と知識とを用いて看護実践ができる看護職者の養成
・他の看護職者に対して指導・相談ができ,透析看護の質の向上に寄与するために必要な能力を養うこと
カリキュラム-透析看護分野(必修科目授業時間数:630時間/32単位)
【基礎共通科目】 |
【専門基礎科目】 |
【専門科目】 |
リーダーシップ |
末期腎不全患者の看護概論 |
血液浄化療法に伴う技術 |
文献検索・文献講読 |
腎不全の病態生理と治療法 |
維持透析技術 |
情報処理 |
透析患者の身体機能 |
在宅透析技術 |
看護倫理 |
患者及び家族の理解のための理論 |
患者家族教育技術 |
教育・指導 |
リスクマネジメント |
透析生活支援技術 |
コンサルテーション |
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コーディネート技術 |
対人関係 |
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【学内演習】 |
看護管理 |
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【臨地実習】 |
透析看護の教育課程への出願基準・認定取得のプロセス・募集概要は以下のとおりです。
出願基準となっている症例数の確保など,働きながら認定看護師を目指す場合には,職場の理解が必要不可欠です。
スキルアップのために認定看護師を目指したいのに「今の病院が忙しすぎて勉強できない」とあきらめる前に,思い切って転職してみるのもひとつの手かもしれません。
【参考】透析看護認定看護師の所属する病医院(一都三県のみ(2011年10月現在の日本看護協会ホームページによる))
| 都道府県 |
所属病医院 |
| 東京都 |
NTT東日本関東病院 |
| 愛和会南千住病院 |
| 杏林大学医学部付属病院 |
| 医療法人財団城南福祉医療協会 大森東クリニック |
| 医療法人社団恵章会 御徒町腎クリニック |
| 慶応義塾大学病院 |
| 財団法人東京都保健医療公社 大久保病院 |
| 社会福祉法人三井記念病院 |
| 聖路加国際病院 |
| 池上総合病院 |
| 東京医科大学病院 |
| 東京女子医科大学病院 |
| 東邦大学医療センター大橋病院 |
| 東邦大学医療センター大森病院 |
| 独立行政法人国立病院機構 東京医療センター |
| 日本医科大学付属病院 |
| 日本大学医学部付属板橋病院 |
| 埼玉県 |
医療法人慶寿会 さいたまつきの森クリニック |
| 財団健和会みさと健和クリニック |
| 上福岡腎クリニック |
| 神奈川県 |
医療法人沖縄徳州会 湘南鎌倉総合病院 |
| 医療法人財団石心会 川崎幸病院 |
| 横須賀市立市民病院 |
| 公立大学法人 横浜市立大学付属病院 |
| 国家公務員共済組合連合会 横須賀共済病院 |
| 国家公務員共済組合連合会 平塚共済病院 |
| 独立行政法人労働者健康福祉機構 関東労災病院 |
| 日本医科大学武蔵小杉病院 |
| 千葉県 |
医療法人社団聖仁会 我孫子聖仁会病院 |
| 医療法人社団誠馨会 千葉中央メディカルセンター |
| 医療法人社団中郷会 新柏クリニック |
| 社団法人全国社会保険協会連合会 千葉社会保険病院 |
| 日本赤十字社 成田赤十字病院 |
【透析療法指導看護師・透析技術認定士】
透析分野に明るい看護師は,透析看護認定看護師だけではありません。透析分野においては,「透析療法指導看護師」「透析技術認定士」という2つの資格も存在します。
透析看護認定看護師が日本看護協会の実施する認定制度であるのに対し,これら2つの資格は,学会の認定する資格です。
「透析療法指導看護師」は,日本腎不全看護学会・日本透析医学会・日本腎臓学会・日本移植学会・日本泌尿器科学会の5学会が認定する資格であり,「透析技術認定士」は,日本腎臓学会・日本泌尿器科学会・日本人工臓器学会・日本移植学会・日本透析医学会で構成される「透析療法合同専門委員会」が認定する資格となっています。
これら学会認定資格の目的や制度,受験資格等は以下のとおりとなっています。
なお,透析技術認定士については,准看護師でも取得可能な資格ですので,准看護師さんで専門性を身につけたい方にはおすすめの資格といえるかもしれません。
目的 透析看護現場におけるケアの質の向上を図ることを目的としています。
沿革 熟練した看護技術と知識を用いて水準の高い看護実践のできる透析療法指導看護師を育成するため,日本腎不全看護学会・日本透析医学会・日本腎臓学会の3学会が合同で平成15年度よりスタートした認定制度です。平成16年度より日本移植学会・日本泌尿器科学会も加わり,5学会が認定する資格となって今日に至ります。
制度:5年度ごとの更新制となっています。看護技術・知識の維持を目的として,更新には所定の単位が必要(70ポイント)となっています。したがって,単に実務をこなすだけでは単位は取得できず,5学会の学術集会・総会・セミナー・研修会への参加及び発表などにより単位を取得する必要があります。
取得要件:
- 正看護師であること
- 日本腎不全看護学会正会員歴が継続して3年以上であること
- 看護実務経験が通算5年以上あり,うち腎不全看護領域の実務経験が通算3年以上あること
- 透析看護領域(血液透析・腹膜透析)実践報告を3例提出すること
- 所定の学会の参加や学術誌論文掲載などにより加算される受験資格ポイントが累計30ポイント以上あること
試験スケジュール(第9回)
出願期間:2011年11月1日~12月1日
試験日 :2012年1月22日
受験料 :3万円
合格発表:2月中旬
認定期間:5年間
(合格率:第8回 84.4% / 第7回 81.9% / 第6回 100% / 第5回 88.7% / 第4回 88.9% / 第3回 93.6% / 第2回 94.6%)
目的:透析療法の正しい知識と技術を持ち,医師の指導監督の下に透析装置の操作と管理を行うコメディカルを認定することとしています。(認定期間:5年間)
認定主体:透析療法合同専門委員会(日本腎臓学会・日本泌尿器科学会・日本人工臓器学会・日本移植学会・日本透析医学会から選出された委員で構成)
受験資格
1.次のいずれかの資格を有し,かつ,免許登録日以降,申請書類提出日現在において,各資格に該当する透析療法の実務経験年数を満たしていることが必要です。なお,透析業務経験年数については,2カ所以上の施設における経験を合算することができます。ただし,透析業務経験期間として算入できるのは常勤期間のみであり,アルバイト期間を算入することはできません。
正看護師 : 透析療法経験2年以上
准看護師 : 透析療法経験3年以上(高卒の場合)
透析療法経験4年以上(中卒の場合)
2.透析療法合同専門委員会が実施する認定講習会を修了していることが必要です。なお,直近の前3回の講習会を1回以上受講した場合には,申し出により認定講習会の受講は免除されます。したがって,1回講習会を受講すれば,受講年度を含む4年間は受験資格を維持できるということになります。
[講習会について]
- 4日間にわたって開催されます。受講資格は,上述の受験資格1と同様です。また,講習会の全日程を受講しないと受験資格を取得することはできません。
- 講習期間について,2011年度は3月15日~18日を予定していましたが,東日本大震災のため講習会は中止となり,その後,DVD送付による自宅講習で,講習を受講したものとみなすことになったようです。
- 受講料:32,000円
- 講習科目;
血液浄化療法の歴史 |
栄養管理 |
急性血液浄化 |
透析機器 |
臨床検査 |
小児腎不全患者の透析 |
装置 |
腎移植 |
腎不全患者の病態(心血管系合併症他) |
血液浄化療法の概要と実際 |
腎不全患者の手術 |
腎不全患者の病態(透析アミロイドーシス他) |
バスキュラーアクセス |
透析療法における倫理的問題 |
腎不全患者の病態(脂質代謝他) |
慢性透析療法 |
血液浄化療法の工学的基礎知識 |
薬物療法 |
腎不全患者の病態(腎性貧血他) |
血液浄化法の事故と対策 |
透析室の管理 |
腎不全患者の病態(腎性骨異栄養症他) |
腹膜透析 |
透析患者の看護 |
認定試験
・受験資格: 以下のいずれかの要件を満たしていることが必要です。
- 直近の認定講習会を受講していること。
- 過去3回の認定講習会のいずれかを受講済みであり,その旨を申し出ていること。
・試験日 : 2011年7月31日(受験料:10,000円)
(2009年度受験者数:1,367名 合格者数:962名(合格率70.37%))
○ 参考資料
【透析看護認定看護師】
・日本看護協会
http://www.nurse.or.jp/nursing/qualification/nintei/index.html
・東京女子医科大学 認定看護師教育センター
http://www.twmu.ac.jp/nursing/n-ent/n-ent-nintei.html
http://www.twmu.ac.jp/nursing/n-ent/116-n-nintei.html
【透析療法指導看護師・透析技術認定士】
・透析療法指導看護師認定資格制度について
http://www11.ocn.ne.jp/~jann1/files/qualification01.html
・透析技術認定士
http://touseki.jaame.or.jp/
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